
『ハゲタカ』の主人公鷲津の真の目的をネタバレしちゃうよ

「ネタバレを見たくない」って人はすぐにこのサイトから出ていきな
はじめに
今回はドラマ『ハゲタカ』の主人公・鷲津の秘密の目的についてネタバレします。
鷲津の過去や家族、とある企業の暗躍が関わってきます。
ネタバレが苦手な人は引き返すようにしてください。
鷲津の秘密の目的
鷲津が日本で企業のバイアウト(企業買収)を行う本当の目的、それは日本への復讐、そして日本をバイアウトするためです。
ではなぜそのようなことを行おうと考えたのか。
それは父親が日本という国に陥れられ、最終的に自殺を遂げてしまったためです。
詳しい流れを見ていきましょう。
鷲津の父について
鷲津の家は、大阪・船場の大規模商店を営んでいました。
鷲津の父親はそこの三男坊で誕生し、花井淳一という名前が付けられました。
大規模商店の家でありながら、鷲津の父親は三男坊であったため、30近くまで放蕩生活。
その後アメリカへ放蕩の旅へ出かけてしまいました。
しかしそこでユダヤ商法をいろはを学び、帰国後に「ワープ・ジャパン」を立ち上げ、アメリカンファッションを大胆に取り入れたブランドを作り上げました。
その結果ブランドは大人気、大成功しました。
日本の闇
しかしある時、鷲津父は三葉銀行、そして日本の闇を知ってしまいます。
それは、匿名口座による不正です。
匿名口座を利用することにより、脱税を行ったり、不正な方法で得た金を隠したりするなどを行うことができます。
三葉銀行は戦前の時代から長々と匿名口座を、特別の顧客のために作ってきました。
この匿名口座は、明治維新以降は藩閥(当時の政府お偉いさんの派閥)や軍の軍属(軍人以外の軍関係者)の私腹を肥やすための貯金箱となっていました。
そして昭和以降は、満州の軍属の資金源となってきました。
また個人としてだけでなく政府自身も匿名口座を持っており、戦争被害を回避するために、匿名口座の金はそのままスイス銀行に送金されていました。
戦後、GHQはこの匿名口座をしっていましたが、あえて見て見ぬふり。
むしろ世界中からマネー・ロンダリング(不正な方法で得た金の資金源をわからなくする方法)の場として利用されてきました。
闇を知った鷲頭父
鷲津父の実家の本家も実はこの匿名口座を持っていました。
その関係から三葉銀行、そして日本の闇を知ることとなります。
鷲津の父親は正義心から、この匿名口座について調べ始めます。
関係者その1:飯島亮介
そして鷲津父の飲み仲間であった三葉銀行の飯島亮介に話を持ち掛けます。
しかし野心家であった飯島は、「鷲津父が匿名口座について調べ始めている」と三葉銀行の上層部に報告。
それと引き換えに出世の約束に漕ぎ着けることができました。
だが鷲津父は匿名口座について公表するなどと飯島を脅迫します。
そこで飯島は、鷲津父が脱税していると国税庁に密告します。
追い詰められた鷲津父
脱税の密告を受けた国税庁は鷲津父の会社の調査しましたが、結果は間違いということで落ち着きました。
しかしそのせいで信用はがた落ち、会社は回らなくなってしまいました。
よって「ワープ・ジャパン」は倒産することとなります。
しかし、このワープ・ジャパンの倒産は計画倒産ではないかと根も葉もない言いがかりにより、三葉銀行から訴えられてしまいました。
三葉銀行はワープジャパンに対し多額の融資を行っていたためです。
その結果、鷲津父は逮捕されていしまいます。
関係者その2:芝野健夫
ですがここに一つ大きな秘密があります。
それはこの倒産を進めたのは、他ならぬ三葉銀行でした。
その担当を行っていたのは、同じく三葉銀行社員である芝野健夫です。
しかし彼には、計画倒産を勧めているという意識はなく、また匿名口座という三葉銀行の秘密も知りませんでした。
芝野もまた、飯島に知らないうちに操られていたのでした。
鷲津父の自殺
もはや世間からは犯罪者扱いをされ、たとえ告発を行ったとして信じてもらえるとは到底思えない。
そう考えた鷲津父は、死をもってこの闇を世間に訴えようとしました。
大蔵省のホール中央で自殺を試みた鷲津父は、近くにいた警備員に全てを記した遺書を託し絶命しました。
しかしながらこの遺書は世間に出回ることはなく、一人の会社社長が倒産を苦に自殺、ということで片付けられてしまいます。
鷲津と父の最後の会話
鷲津父が自殺する1年前、鷲津はニューヨークでピアニストとして修業をしていました。
ある日父が訪れ鷲頭のピアノを聞いた後、最高の賛辞を送りました。
そして次に一言。
「お前は、正義のために死ねるか」と。
当時父親に対し反抗心があった鷲津は、「そんなもんのために死ねるか」と言い返しました。
それでも鷲津父は真面目に
「人は、正義のためやったら死ねるんや」
と長々と説明します。
しかし鷲津父が帰国した後、脱税やら詐欺で逮捕。
「何が正義だ」と当時の鷲津は悪態をつき、いつの間にか姓も父親の「松井」から、母親の「鷲津」に変わっていました。
父親からは「敵を取ってくれ」、母親からは「父が誰かに殺されてしまう、帰ってきてくれ」と電話が来ましたが、ピアニストとして正念場を迎えていた鷲津はそれでも帰宅しませんでした。
そして自殺の一週間前、鷲津父から鷲津へ最後の連絡が来ます。
そこで弱音を繰り返す鷲津父の情けなさに怒りを覚えた鷲津は
「あんた、 大店 の ぼん として 今 まで 好き 勝手 し て き た ん やろ。 それ が、 なん や、 ちょっと へこん だら、 この 体たらく か。 せめて、 息子 の 前 ぐらい 強がり 言えん のか!」
真山仁. 新装版 ハゲタカ(下) (講談社文庫)
と一喝。
はっとした鷲津父は
「…… ほんま、 せ やな。 その 通り や。 分かっ た。 俺 も、 もう ひと頑張り し て、 この ど アホ な 国、 全部 買う て しも たる わ」
真山仁. 新装版 ハゲタカ(下) (講談社文庫)
と返事。
泣きながら笑って鷲津父は電話を切りました。
その一週間後のクリスマスに自殺を遂げます。
自分のせいで父親は死んだのではないかと鷲津は自分を責め続けました。
そして父親の残した
「人は、正義のためやったら死ねるんや」
「このドアホな国、全部買うてしもたるわ」
という2つの言葉が心に響きます。
自分がやれることはこれしかないと考え、ピアニストとしての鷲津は死に、ハゲタカビジネスの世界へと足を踏み入れました。
最終的に
鷲津はまず芝野の下に話をつけに行きました。
芝野の行いが一人の経営者の命を奪った、と。
芝野にはそのようなことに加担している意識はありませんでしたが、罪悪感から今まで勤めていた企業や役職をすべて退職することとなります。
また、その後飯島に話をしにいきました。
俺を告発するのか、と問いかけられた鷲頭は、とある英字新聞を出します。
それはアメリカの一流新聞であり、三葉銀行の不正と匿名口座の存在、そしてその顧客リストが書いてありました。
激怒した飯島は
「貴様 の やっ た こと は 売国奴 と 一緒 だ! 命 が ある と 思う なよ!」
真山仁. 新装版 ハゲタカ(下) (講談社文庫)
と激怒。
これに対し鷲頭は
「売国奴、望む ところです。私の願いですよ。この国をぶっ潰すためなら、命なんて惜しくないですよ。正義のためになら死ねますから……」
真山仁. 新装版 ハゲタカ(下) (講談社文庫)
と父親の言葉を使い言い返します。
これにより日本は対応に追われ、鷲頭は一矢報いることができました。
その後も鷲頭は、飯島や芝野、そして三葉銀行とは関わりを持つことになりますが、鷲頭の復讐劇は終わることとなります。
鷲頭と父親の言葉
鷲頭のイメージとしては、クール、非情といったイメージを持つ方が多いと思います。
しかしそれでも鷲津が大切にしていることがあります。
それは道義です。
どんな時でも道義は通すことで鷲頭は知られており、
鷲津が大嫌いといって憚らない芝野も
「約束を絶対に果たす男」
と評するほどです。
父親が大切にしろと言っていた「正義」を、鷲津自身も大切にしている証拠ですね。
おわりに

鷲津の本当の目的の背景には、父親との絆があったんだな

最後に鷲津が飯島に言い放った言葉には重みがあるね